40代前半M Mさん
30歳の時に子宮筋腫と卵巣嚢腫の手術をした際、担当医師から「子どもができにくいと思う」と言われた。その時は、それでもいつか赤ちゃんを授かるだろうと思っていた。
数年経ち結婚し、すぐに妊娠したが流産した。しかし、この妊娠したことで、私の中で自然妊娠できるという思いが強くなり、なかなか不妊治療をせず、月日だけが過ぎていった。
年齢もあるし赤ちゃんが欲しいという思いが日に日に増していき、近くの婦人科を受診してみた。すぐに人工授精の予定がたてられ、これで赤ちゃんを授かることができると思ったが、生理が来ては落ち込むという日々を繰り返していた。
私達の不妊の理由は特になかった。そのために、どうしていいかわからず、出口の見えないトンネルをただただ、見つめて進んでいた。体外受精も3回したが、結果は陰性。「どうしたら赤ちゃん授かるの?」「何で私にできないの?」と何度も自分に問いかけたり主人に聞いていた。本当に辛い日々だった。費用ばかりかかり、「もうやめやよう、赤ちゃんのいない人生、主人と2人の人生を楽しもう」と考え始めていた。しかし、私が不妊治療をする時、両親が「娘に赤ちゃんを授かることは私達の義務であるから」と援助してくれていた。
そこでもう1度と思い、友人が不妊治療の末授かった病院へ転院することにした。
そこでの治療を最後にしようと、先生に懇願し、始めから体外受精をお願いした。先生も私の気持ちに応えてくれ、より妊娠率があがるようにと、顕微受精を提案してくれた。
判定日。
心臓が飛び出るとはこのことではないかと思うぐらいドキドキしながら、結果を待ち合い室で待った。そして、先生から「おめでとうございます」と言われた瞬間、まだ出産したわけでもないのに、涙が出てきた。胎嚢確認、心拍確認とモニターをみるたびに涙が出てきた。
つわりも辛かったが、それでもお腹に赤ちゃんがいると思うと、嬉しくて仕方がなかった。
2017年5月1日
ドラマの出産シーンのように「おぎゃぁ」と産声をあげ、娘が産まれた。奇跡の瞬間、涙が止まらなかった。そして、1年後、2人目の治療をはじめようと思った矢先に、自然妊娠。
先日、娘に聞いてみた。
「なぜ、ママのところへ来てくれたの」
「ママがえーんえーんって泣いてばかりいたから来たんだよ」と。
今、年子の2人の子供がいて忙しくも幸せな時間が溢れている。