高度な授かり治療のできるクリニックに通い始めてすぐのこと、
顕微授精までステップアップすることが決定したのですが。
年齢のこともあって、トントン拍子に採卵のスケジュールも決まり。
何の予備知識のないまま、卵を育てるための自己注射をすることになりました。
とにかく初見ではドン引きする注射針を大量に渡され、
「下腹にお肉がついてないから、人より痛いかもね」
なんて、笑顔の看護師さんから、丁寧な説明を受けて自宅に帰り、いざ対面。
正直、注射器に対峙したときは、恐怖心しかありませんでした。
でも、いざ、その時になると、結局は何の躊躇もない。
そして、痛くない。
とはいえ、人間の真っ当な反射として、変な汗は出ていたと思います。
事実として看護師さんの予告通りかなりの痛みだから。
でも、心で感じたものは、痛みではなく希望でした。痛みに希望が、上回りました。
これで、結婚して10年、妊活で足踏みしていた10年、それが一歩前へ進める。
これは、自分たちの目標のため、赤ちゃんを迎えるための、ほんのちっちゃな努力のひとつ。
このちっちゃな努力のひとつで、大きな一歩を踏み出せる。
そんな感情が痛みをすべてぬぐっていってくれました。
この自己注射をしていた7年前の春は、いまだに美容師さんに振り返って話をされるほど、髪のつやがなくなって、抜け毛が半端なくて、体調も良く、副反応はかなり激しかったです。その頃の写真は、今でも見ることが嫌なほど、ひどい状態でした。
ですが、結果は10個以上の卵が採卵でき、胚盤胞も4個凍結できました。
目標のためのちっちゃな努力は、痛みも副反応もはるかに上回る大きな希望となり、現在の笑顔あふれる毎日へとつながっています。